○富士川町議会基本条例
平成29年12月20日
条例第25号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第6条)
第3章 町民と議会の関係(第7条―第9条)
第4章 町長等と議会の関係(第10条―第15条)
第5章 自由討議の拡大(第16条)
第6章 政務活動費(第17条)
第7章 議会改革の推進(第18条)
第8章 議会の体制整備(第19条―第25条)
第9章 議員の災害対応(第26条―第28条)
第10章 議員の定数、議員報酬及び政治倫理(第29条―第31条)
第11章 補則(第32条・第33条)
附則
地方分権の時代を迎えて、地方自治体の自主的な決定と責任が拡大した今日、地方議会の果たすべき役割と責任はますます大きくなってきているが、その責務を十分果たしているといえないのが現状である。
富士川町議会(以下「議会」という。)は、選挙で選ばれた議員により構成される合議制の機関として、同じく町民から選挙で選ばれた富士川町長(以下「町長」という。)とともに、町民の信託を受けて活動し、町民の意思を町政に的確に反映させるために、互いに切磋琢磨しながら、最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
それゆえ、議会と議員は、議決責任と説明責任を自覚し、透明性と公正性を確保しながら、町民の福祉向上のため、その役割と責務を果たしていかなくてはならない。
多様化する町民意識と行政需要に応えるためには、これまで以上に、監視機能、調査機能、政策形成・立案機能等を強化していくことが必要である。
我が議会は、これまで「町民に信頼される議会」を目指して「町民に開かれた議会」のための改革を行ってきた。
更にそれを一歩前進させるためには、自己研さんと資質向上を図り、議員間の自由な討議と情報の積極的な開示、政策活動への多様な町民の参加を促していくことが重要である。
そのためには、これまでの議会改革の取組みを発展継承させ、確固たるものとして明確化する必要がある。ここに議会運営の最高規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の活動原則及び自主的かつ自立的な議会運営を実現するための基本的事項を定めることにより、議会と町民及び町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)との関係を明らかにするとともに、二元代表制の下での意思決定機関である議会の機能を最大限に発揮した活動を推進し、もって町民福祉の向上及び町政の発展に寄与することを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会に関する条例、規則その他の規程を制定し、又は改廃するときは、この条例の趣旨を十分に尊重しなければならない。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる事項を原則として活動しなければならない。
(1) 透明性、公正性及び信頼性を重んじ、町民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民の多様な意見を的確に把握し、町政に反映させるための議会運営に努めること。
(委員会の活動原則)
第4条 富士川町議会委員会条例(平成22年富士川町条例第196号)に規定する常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)での審査に当たっては、町政課題に迅速に対応するため、議会閉会中においても必要に応じて所管事務等の調査を行い、その機能を十分発揮するよう努めるものとする。
2 委員会は、委員相互の討議を重視し、町民に対して分かりやすい議論に努めるとともに、資料等及び審査経過等の説明を行わなければならない。
(議長及び議員の活動原則)
第5条 議長及び議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議長は、議会を代表して、民主的で公正かつ公平な立場において職務を遂行し、効率的な議会運営を行うこと。
(2) 議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識して、議員相互の討議を重んじること。
(3) 議員は、町政の課題全般について町民の意見を的確に把握するとともに、自らの資質を高める不断の研さんにより、町民の代表としてふさわしい活動をすること。
(4) 議員は、議会の構成員として、町民全体の福利の向上を目指して活動すること。
(議決責任等)
第6条 議会は議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、町としての意思決定又は政策決定をしたときは、町民に対して説明する責務を有するものとする。
2 議会は、議会運営に関し、町民に対して説明する責務を有するものとする。
第3章 町民と議会の関係
(町民と議会の関係)
第7条 議会は、町民に対し議会活動に関する情報を積極的に発信し、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、町民、町民団体等との意見交換の場の確保に努めるとともに、政策能力を強化して政策提案の拡大を図るものとする。
3 議会は、請願及び陳情を町民の政策提言と位置付け、その審議においては、その提案者からの意見を聴く機会を設け、適切に町政に反映しなければならない。
4 議会は、多様な媒体を活用して積極的に広報及び広聴に努めるとともに、そこから得られた町民の声を議会活動に反映するものとする。
(本会議及び委員会の公開)
第8条 議会は、町民に開かれた議会運営に資するため、本会議及び委員会を原則として公開するものとする。
(議会懇談会)
第9条 議会は、町民への議会活動報告及び町民との意見交換の場として、議会懇談会を行うものとする。
2 前項の議会懇談会に関し必要な事項は、別に定める。
第4章 町長等と議会の関係
(町長等と議会の関係)
第10条 議会は、二元代表制の下、町長等と対等で緊張ある関係を構築し、町長等の事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策の立案及び提言を通じて町政の発展に取り組むものとする。
2 議会は、前項の活動を円滑に進めるため、町長等に対し積極的に町政に関する情報提供を求めるものとする。
(町長等と議長及び議員との関係)
第11条 議会の本会議における議員及び町長等の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。ただし、議会が適当でないと認めた質疑にあってはこの限りではない。
2 町長等は、議長から本会議、委員会への出席を要請されたときは、議員の質問及び質疑に対し論点及び争点を明確にするために、議長又は委員長の許可を得た上で、反問することができる。
3 議員は、町長の設置する各種審議会等附属機関への委員としての参加を、極力控えるものとする。
(議会への説明等)
第12条 町長等は、議会に計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努めなければならない。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討
(4) 基本計画(地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件を定める条例(平成23年富士川町条例第16号。以下「議決条例」という。)第2条第2号に規定する基本計画をいう。以下同じ。)との整合性
(5) 政策等の実施に係る財源措置
(6) 将来にわたる政策等の費用及び効果
(7) 前各号に掲げるもののほか、議会が必要と認める事項
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算及び決算における政策等説明資料の作成)
第13条 町長は、予算及び決算を議会に提出し、議会の審議に付するに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策等説明資料を作成するよう努めるものとする。
(議決事件)
第14条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項に規定する議決事件は、町の総合計画に関わる基本構想の策定、変更、又は廃止に関することとする。
2 前項の議決事件は、議会において不断に見直さなければならない。
(監査及び評価)
第15条 議会は、町長等の事務の執行について監視及び調査を行うものとする。
2 議会は、予算の承認、決算の認定、監査の請求、調査の実施等を通して、町民に町長等の事務執行についての評価を明らかにするよう努めるものとする。
3 議会は、基本構想(議決条例第2条第1号に規定する基本構想をいう。)に基づく基本計画及び重要施策について、その経過を常に検証し評価するものとする。
第5章 自由討議の拡大
(自由討議による合意形成)
第16条 議会は言論の府であることを認識し、本会議、常任委員会において、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し、結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、前項の議員相互間の自由討議を拡大するために、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
第6章 政務活動費
(政務活動費)
第17条 議員は、富士川町議会政務活動費の交付に関する条例(平成26年富士川町条例第13号)に基づいて交付される政務活動費を有効に活用し、政策提言及び審査等のための調査研究を積極的に行うものとする。
2 議員は、政務活動費を充てることができる経費の範囲に従い、これを適正に執行し、常に町民に対し使途を明らかにするとともに、説明責任を負うものとする。
第7章 議会改革の推進
(議会改革推進会議)
第18条 議会は、継続的な議会改革に取り組むため、議員で構成する議会改革推進会議を設置する。
2 議会改革推進会議の委員は、6人以内の議員をもって構成し、議長が議会運営委員会に諮って選任する。
3 議会は、必要があると認めるときは、前項の議会改革推進会議に学識経験を有する者を構成員として加えることができる。
第8章 議会の体制整備
(一般会議の設置)
第19条 議会は、常任委員会及び特別委員会の制約を超えて、町政の諸課題に柔軟に対処するため、町政全般にわたって、議員及び町民が自由に情報及び意見を交換する一般会議を設置するものとする。
(調査機関の設置)
第20条 議会は、町政の課題に関する調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査機関に議員を構成員として加えることができる。
3 前2項に規定するもののほか、調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(議会サポーターの協力)
第21条 議会及び議会事務局は、広く英知を結集して活動するため、町内外から自主的な協力者(以下「議会サポーター」という。)を募り、その協力を得ることができる。
2 議会サポーターの氏名は公開し、その協力活動は原則として無償とする。
3 前2項に規定するもののほか、議会サポーターに関し必要な事項は、議長が別に定める。
(議会図書室の設置及び公開)
第22条 議会は、議会図書室を設置するとともに、これを議員のみならず、町民及び町職員の利用に供するものとする。
(議会事務局の体制整備)
第23条 議会は、議会及び議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るように努めるものとする。この場合において、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するとともに、外部人材を積極的に活用するものとする。
(議員研修の充実強化)
第24条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図り、この条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、町民等との議員研修会を開催するものとする。
3 議員は、研修を行ったときは、研修報告を議長に提出するものとする。
(議会広報の充実)
第25条 議会は、町政に係る重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して周知するよう努めるものとする。
2 議会は、町民が議会における決定の過程及び結果に関する情報を入手することができるよう、広報誌の発行、インターネットの利用その他の方法により広報の充実に努めなければならない。
第9章 議員の災害対応
(災害時の体制の整備)
第26条 議会は、大規模災害時(町が災害対策本部を設置した場合に限る。以下同じ。)の緊急の事態から町民の生命、身体及び財産並びに生活の平穏を守るとともに、緊急時において総合的かつ機動的に活動できるよう、町長等と協議し、危機管理体制の整備に努めなければならない。
(災害時の議会の役割)
第27条 議会は、大規模災害時の緊急の事態が発生したときは、町民の生活基盤の回復、整備等に必要な予算を迅速に定めるとともに、災害からの復興に向け積極的な役割を果たすよう取り組むものとする。
(災害時の議員の役割)
第28条 議員は、大規模災害時の緊急の事態が発生したときは、議長に自らの安否及び所在を明らかにするため、連絡するものとする。
2 議員は、大規模災害時の緊急の事態が発生したときは、地域における被災者の安全確保、避難所への誘導又は避難所に対する支援を行うなど、区長に協力し地域の一員として共助の取り組みが円滑に行われるよう努めるものとする。
3 議員は、大規模災害時の緊急の事態が発生したときは、地域における被災状況、被災者の要望等の情報収集に努め、必要に応じて議長に報告するものとする。
第10章 議員の定数、議員報酬及び政治倫理
(議員定数)
第29条 議員定数は、富士川町議会の議員定数を定める条例(平成26年富士川町条例第37号)の定めるところによる。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、議会機能を発揮するため、人口、面積、財政力及び将来予測と展望を総合的に判断して、適正な定数を定めるものとする。
(議員報酬)
第30条 議員報酬は、富士川町議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成22年富士川町条例第45号)の定めるところによる。
2 議員報酬の改定に当たっては、町の財政状況、他の市町村の動向等を総合的に考慮するとともに、議会が有する役割、責任、町民意見及び富士川町特別職報酬等審議会(富士川町特別職報酬等審議会条例(平成22年富士川町条例第48号)第1条に規定する審議会をいう。)の答申を重んじ、適正な報酬を定めるものとする。
(議員の政治倫理)
第31条 議員は、町民全体の代表者として、その倫理性を常に自覚し、公正を疑わせるような行為をしてはならない。
2 議員は、地域行事等に参加する場合における負担に当たっては、寄附行為の疑念を抱かせないよう実費相当額の負担を徹底し、議会は、行事主催者に対しその理解を求めるよう努力するものとする。
3 議員は、地方自治法第180条の5に規定する委員会委員(監査委員を除く。)、富士川町区長等に関する規則(平成22年富士川町規則第5号)第2条に規定する区長等その他町長が設置し、又は補助金を交付する団体の代表に就任しないものとする。
第11章 補則
(適用範囲)
第32条 この条例は、議会及び議員がその職務を行い、又はその権限に基づき活動する場合に適用する。ただし、前条の規定は、議員がその職にある限り適用する。
(条例の見直し)
第33条 議会は、社会情勢の変化、町民の意見等を踏まえ、必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
附則
この条例は、平成30年4月1日から施行する。
附則(令和3年9月29日条例第26号)
この条例は、公布の日から施行する。