○富士川町男女共同参画推進条例
平成26年6月19日
条例第20号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 性別による権利侵害の禁止(第9条・第10条)
第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第11条―第20条)
第4章 富士川町男女共同参画推進委員会(第21条―第26条)
第5章 雑則(第27条)
附則
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等が保障されており、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた。
しかしながら、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会における慣行などが依然として根強く残っている。
また、少子高齢化、過疎化、情報化、国際化の進展など、社会経済情勢が急速に変化している。
こうした現状を踏まえ、私たち富士川町民は、性別にかかわりなく、互いの人権を尊重し、誰もが自立した個人として、その個性と能力を十分に発揮することのできる男女共同参画社会の実現に向けて、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画社会の実現に向けて、基本理念を定め、町、町民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、町の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 町民 町内に居住し、通勤し、通学し、又は町内で活動する全ての者をいう。
(4) 事業者 町内において営利又は非営利の事業活動を行う全ての個人、法人その他の団体をいう。
(5) 自治組織等 町内の行政区等地縁に基づいて形成された団体及びその他の住民団体をいう。
(6) 教育に携わる者 家庭教育、学校教育、職場教育、社会教育その他のあらゆる教育に携わる者をいう。
(7) セクシュアルハラスメント 性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害することをいう。
(8) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際相手その他親密な関係の男女間において身体的、性的、精神的及び経済的等の暴力的行為をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として図られなければならない。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
(2) 性別による固定的な役割分担等を反映した社会における制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、町における施策又は事業者、自治組織等及び教育に携わる者(以下「事業者等」という。)における方針の立案及び決定に、共に参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての責任を持ち、かつ、その役割を円滑に果たすとともに、当該活動以外の活動を行うことができるようにすること。
(5) 児童をはじめ次世代を担う者が、家庭、学校、地域その他の社会のあらゆる分野(以下「社会のあらゆる分野」という。)において、性別による差別的取扱いを受けることなく、豊かな個性と能力を十分発揮できる教育を受けられること。
(6) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接に関係していることを理解し、国際的協調の下に行うこと。
(7) 男女が互いの性を理解し、生涯にわたる性と妊娠出産を含む生殖に関し、互いの意思を尊重すること。
(町の責務)
第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に実施しなければならい。
2 町は、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に当たっては、財政上の措置及び推進体制の整備に努めなければならない。
3 町は、町民及び事業者等に対して、男女共同参画の推進に関する学習の機会を確保し、意識啓発に努めなければならない。
4 町は、町民及び事業者等との連携の下、男女共同参画の推進のために行う活動を支援しなければならない。
5 町は、第1項の施策を推進するに当たっては、町民、事業者等、国、県その他の地方公共団体及び関係団体と連携し、協力して実施しなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、基本理念にのっとり、社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に取り組むよう努めなければならない。
2 町民は、家庭生活において、男女が互いに人格を尊重し合うこと、及び性別にとらわれることなく役割を分担することを旨として、互いに協力するよう努めなければならない。
3 町民は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力し、その雇用する者に対し、男女共同参画の推進に役立つ情報を提供するよう努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女が職業生活と家庭生活とを両立できる職場環境の整備に努めなければならない。
(自治組織等の責務)
第7条 自治組織等は、基本理念にのっとり、性別による固定的な役割分担意識又は社会の慣行等男女共同参画を推進するのに弊害となる要因を取り除くよう努めなければならない。
2 自治組織等は、町が推進する男女共同参画の施策の遂行に協力するよう努めなければならない。
3 自治組織等における役職の構成に当たっては、性別を理由に異なった取扱いをしないように努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第8条 社会教育、職場教育、学校教育、家庭教育その他のあらゆる場面において教育に携わる者は、基本理念にのっとり、男女共同参画の重要性について理解を深める教育を行うように努めなければならない。
第2章 性別による権利侵害の禁止
(性別による権利侵害の禁止)
第9条 何人も、社会のあらゆる分野において、直接的又は間接的に性別に基づく差別的取扱いを行ってはならない。
2 何人も、社会のあらゆる分野において、セクシュアルハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、全ての男女間において、ドメスティック・バイオレンス等あらゆる形態の暴力行為を行ってはならない。
(公衆に表示する情報の表現への配慮)
第10条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担、セクシュアルハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを助長し、並びに連想させる表現その他の男女共同参画の推進を妨げる表現を用いないよう努めなければならない。
第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(基本計画の策定)
第11条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 町長は、基本計画を策定し、又は変更するに当たっては、あらかじめ第21条に規定する富士川町男女共同参画推進委員会に諮問し、町民及び事業者等の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるものとする。
3 町長は、基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかに公表するものとする。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第12条 町は、あらゆる施策の策定に当たり、企画、立案及び実施において男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(情報提供及び広報活動)
第13条 町は、男女共同参画の推進について、住民及び事業者等の理解を深めるため、あらゆる機会を通じて情報を提供し、広報活動を行うよう努めるものとする。
2 町は、広報、報道、広告等において、性別による固定的な役割分担意識を助長するような表現を行わないものとする。
3 町は、町民に向けて情報を発信しようとする者に対して、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に寄与するよう協力を求めなければならない。
(男女共同参画の推進に関する支援)
第14条 町は、町民又は事業者等が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、人材の育成等に努めるものとする。
(家庭生活及び社会生活の両立支援)
第15条 町は、男女が家庭生活における活動と職業生活その他の社会における活動を両立することができるようその支援に努めるものとする。
(自営業者への支援)
第16条 町は、農林業、商工業その他の産業における自営業の男女共同参画を推進するため、これらに従事する者に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(子育てと介護における共助と支援)
第17条 町は、家族を構成する男女が性別により役割を固定することなく、子育て及び介護を積極的に行うことができるようその環境整備に努めなければならない。
(苦情及び相談への対応)
第18条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、町民又は事業者等から苦情の申出を受けたときは、適切な措置を迅速に講ずるよう努めなければならない。
2 町長は、性別による差別的取扱いその他の男女の人権の侵害について、町民又は事業者等から相談の申出があったときは、関係機関又は関係団体と連携し、適切な措置を迅速に講ずるよう努めなければならない。
(調査研究)
第19条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するために必要な調査研究を行うものとする。
2 町長は、必要があると認めるときは、町民及び事業者等に対し、男女共同参画の状況に関する調査について協力を求めることができる。
(男女共同参画の推進状況等の公表)
第20条 町長は、毎年度、男女共同参画の推進状況及び当該施策の実施について、公表するものとする。
第4章 富士川町男女共同参画推進委員会
(設置)
第21条 男女共同参画の推進を図るため、富士川町男女共同参画推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第22条 委員会は、次に掲げる事項について、町長の求めに応じて調査及び検討を行う。
(1) 基本計画の策定及び変更に関する事項
(3) その他男女共同参画の推進に関する事項
2 委員会は、前項各号に定めるもののほか、必要があると認めるときは、男女共同参画の推進に関する事項について、町長に意見を述べることができる。
(組織)
第23条 委員会は、委員20名以内で組織する。
2 委員会の委員は、町民のうちから町長が委嘱する。この場合において、委員の一部を公募により選出することができる。
(委員)
第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(役員)
第25条 委員会に次の役員を置く。
(1) 委員長 1名
(2) 副委員長 2名
2 委員長及び副委員長は、委員の互選により選任する。
(会議)
第26条 委員会は、委員長が招集し、その議長となる。
2 委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が委員会に諮って定める。
第5章 雑則
附則
この条例は、平成26年7月1日から施行する。